ブロックチェーンプロジェクト

Kyber Network を理解する 半自動トークン販売所

さて本日はKyber Networkを理解しましょう。前半では全く知識のない方向けに概要をしっかりとお伝えします。後半では分かっているという方向けに突っ込んだお話をしていきますね。

Kyber Networkと通常の取引所の違いを理解する

さて初めての方向けにまずはどこが普通の取引所と違うのかをガツンと説明します。下記が今回のキーワードです。これが分かればバッチリです。

Kyberは半自動トークン販売所

まずは例によって一般の取引所を見ていきましょう。

一般的な取引所の取引例

あなたは★トークンを地球トークンに交換したいです。このとき取引所に行くと板に交換レートと数量が示された取引条件の提示が示されます。これが取引板ですね。一番いいレートのもので交換するかもしくは自分の提示を行い取引成立を待ちます。この方式は一定レベル以上の取引したい人がいて成り立ちます。

ではあまり取引する人がいないとどうなるでしょう?

取引する人が少ない場合

こんなことが起こります。トレーダーが不当に高い提示を要求するわけですね。これでは売買成立がしません。もしくは不当なレートでの交換をすることになってしまいます。これは参加者が少なく市場原理が働いていない環境がこの結果を生み出しています。

この問題を流動性の問題といい多くのプロジェクトでユニークなアプローチでこの問題に対峙しています。先日紹介したBancorもその一つです。Bancorも面白いのでこちらの記事お時間があるときみてみてください。

で今日の主役のKyber Networkのアプローチを紹介します。じゃじゃん!

Kyberのアプローチ

取引価格は管理人によって決定され提示されます。また地球トークンは出資者によりKyberの用意した保管庫に預けられています。リザーバーと呼ばれます。保管庫に預けるときに出資者は同時に自分のレートを提示していきます。その情報をもとにレートを決定していきます。

リザーバーは取引の結果その差益により利益を得ます。ちょうど良いレートを提示し取引が成り立ちやすくすればその分報酬を得やすくなります。

Kyberは半自動トークン販売所

取引の板はありません。どちらかというとトークン販売所の形態に近いと思います。トークン販売所は取引所が自社の保持するトークンを割合多めの手数料をとって販売しているケースが多いです。

Kyberは出資者が外部から参加でき競争原理が働きますのでレートは一定のレベルに集約されます。またトークン発行者が流動性をあげるためにKyberを利用するという使い方もできます。

現在はこの取引の仕組みはERC20のスマートコントラクトで実装されておりERC20のみの取扱となります。

kyberのビジネスモデル

Kyber Swap

Kyberは上記の取引所を Kyber Swapという名前でオンラインで営業しています。こちらがメインのサイトになります。こちらが上記のモデルの典型例となります。現在の価格がワンプライス出ています。即座に取引が可能です。

ウォレットへの埋込み <Fee Sharing Program>

ウォレット上での簡単なトークンの交換。Kyberの機能をWalletに入れ込むことによりトークンの取引を簡単にWallet上で行うことができます。Wallet側はこれを行うことにより手数料収入を得ることができます。現在すでに有名なWalletも参画しています

参照:https://kyber.network/

手数料はトランザクションの0.075%なのでそんなに大儲けということもないのでWallet側としても顧客の利便さ向上のためにいれているのではないでしょうか。

dAppsへのKyer機能埋込み/VendeのKyber機能の活用

これを行うとdAppsのユーザーはERC20の複数の選択肢からトークンを選んで支払いを行うことができます。一方、dAppsの運営者はETHなど好きなトークンで支払いを受けることができます。こちらは無償で自社のdAppsに埋め込むことができますのでdAppsのユーザー向け機能強化に役たてることができます。さっそく、イーサエモンがKyberとコラボをはじめました。KyberのCEOはイーサエモンのアドバイザーですので成るべくしてなったコラボですね。

こちらKyberの機能入れ込み記念としてEMONT(イーサエモンで使えるトークン)でのキックバックキャンペーンしていますね。

Kyber Network Crystal (KNC)

KyberはKyber Network Crystalという名前のERC20の独自トークンを発行している。このトークンはKyber Network内での支払いに使われる。リザーバーは取引量の0.25%をKyberに手数料として支払います。そのときに用いるのhがKNCとなります。

またWalletでKyberの機能を露出しているパーティーに対しての支払いもKNCを用いて行われます。

KNCは他の取引所でもトレードすることができます。BinanceやHuobiやOKExといった大手の取引所も扱っています。

参照:https://kyber.network/about/knc

KyberGO

Kyberの主催するICOサービスとなります。近々で新しい話は出てきていませんが2018年 6月にTrust WalletのチームがTrust PlatformでKyberGOの使用を宣言していました。残念ながらそのICO自体は中止となりました。ご存知のようにTrust Wallet自体はBaninace傘下に入りました。

KyerbGoを用いると1,KYCの代行 2,各種ERC20トークンの受付が可能となります。今後KyberGoの活用が増えるといいですね。

参照: Kyber Network White Paper

Kyber Network のロードマップ

このロードマップで注目すべき点は2点あります。

cross chain サポート(2018/Q4)

こちらは時代の流れとして必要な対応です。White Paperでは Bitcoin, ZCash, ETCが示されています。一方の雄、BoncorはEOSサポートをうたっています。(こちらの記事参照)さて今後がたのしみですね。

Gormosの開発

スケーラビリティ対応の新しい取り組みです。こちらは詳細がComing Soonとなっています。

Gormosとは

KyberがKyber Networkとは別にすすめているプロジェクトでおもにScalabilityの問題への対応を考えています。Ehtereumのメインネットの対応予定であるPlasmaやShardingよりも更にScalabilityを稼ぐことができるようです。ただし適用は限られた用途になるようなデザインのようです。

内部的には Sharding+Plasma。つまりPlasma Chainというサイドチェーンを作りそのサイドチェーンはSharding(分散処理)を用いることにより更に高速化を実現するものです。詳細のWhite Paperは近々に出るようですが下記のhoryさんの資料がわかりやすいです

競合との立ち位置

流動性の問題への対応を行っているプロトコル/DEXのプロジェクトは大きく3つあげられます。Keyber Bancor 0x これらはそれぞれ独自のアプローチでの対応を図っています。

参照:https://etherscan.io/stat/dextracker?range=30

DEXのトレード量を示した図となります。IDEXは圧倒的な取引量を誇ります。流動性問題に対応したプロジェクトを出していくと下記の様になります。現時点では低めであることは否めません。

0x                      50,000+
Bancor Network   33,381
Kyber Network     14,627

Bancorの取扱トークンは100を超え、ペアは5000を超えています。Keyberは現時点では数十であります。DDEXは0xの最大手となっています。0xはこれ以外にもあり取引量の総量としてはBancorを超えてしまいます。

 
Protocol流動性への対応のしくみ規模
(30days)
 Cross ChainCross TokenToken
Volume
プロジェクトの立地国
Keyberリザーブの確保14,627roadmap
2018/Q4
Bitcoin, Zcash, ETCKNC
$53M
シンガポール
Bancorトークンオーナーの担保33,381Press release
2018-19
EOSBNT
$83M
イスラエル
0x複数DEXでのブック共有+50,000不明不明0x
$354M
アメリカ
IDEX取扱トークンとUIの強化
マーケットシェアの確保
299,540不明不明AURA
$11M
アメリカ

参照:https://coinmarketcap.com/

まとめ

Kyberの強みはWalletやdAppsへのAPIベースでの入れ込みにあると考えている。またCross Chainの明言もありここらへんは期待したいところである。今後もイーサエモンとのコラボレーションに期待したい。

Gormosに関してはEthereumのメインネットやLoom Networkのサイドチェーンの強化あたりに大きく影響を受けそうですね。容易ならざる道ですね。

競合の動きと規模を見る限りタフな局面ではあるがDEXという位置づけ自体がまだまだマイナーのため他のプレイヤーと共にこの市場の強化も期待したいところです。

 

ではでは