Loom Networkが ERC-721xを発表しました。
Today we're proud to open source the smart contract we used for Zombie Battleground card ownership.
ERC721x is an upgraded ERC721 that allowed us to reduce the cost of sending 2 million cards by 6000x, while maintaining full backward compatibility.https://t.co/M1Sy3PbNS3
— Loom Network (@loomnetwork) September 10, 2018
こちらはERC721の拡張となります。まずは少しERC-721の復習をしましょう。
ERC-721とは
ERC-721はNon Figureable Token とよばれ本当に簡単に言ってしまうとキャラクターをトークン(コインみたいな)化したものです。カードゲームのカードをイメージしてもらえればほぼ間違えないです。これがイーサリアムのネットワーク上で取引ができます。
この特徴により仮想通貨のゲームではERC-721によるゲームキャラクターの創造と取引が盛んになっています。
詳しくはこちらの記事も参照してください。
ERC-721xの解決する問題
ERC-721の抱える問題の一つとして取引するときのガス代。言い換えると取引するときのイーサリアムネットワークに払う手数料の問題があります。
参照: ERC721x A Smarter Token for the Future of Crypto Collectibles
ERC-721の場合は100枚を同時に取引するとそれぞれでコントラクトを行うので100倍のコストがかかるります。その問題に対応したのがERC-1155規格です。こちらは、ゲームメーカのENJINがリードした規格です。同時複数トークンの取引ができる拡張を行っています。ただERC-721とは互換性はありません。ENJIN勢が頑張って普及に努めています。
ERC-1155は、先にでてきましたが、欠点としてERC-721互換性がない。つまりERC-721を扱っているマーケットプレースでは現時点では取引ができません。
この問題に対応したのが ERC-721xです。
ERC-721xの特徴
ERC721xは複数のトークンを組み合わせての取引ができるようにしたERC-721の拡張です。さらに特徴としてそのままERC-721の取引所での取引ができるようになっていると宣言されています。そして複数まとめた取引時のガス代は安くなるということです。
- まとめて取引するとガス代は安くなる
- 複数の種類のトークンをまとめて取引できる
- ERC-721互換でマーケットですぐ取引できる
現時点ではERC721x実装はLoom NetworkのZonbie Battlegroundのみだと思われますがLoom NetworkのSDKを使っているゲームなどへの対応はLoomに従っていけば容易であることが想像できます。Loom陣営というわけですね。
ERC-721の実装
ERC-721は実際にどういった構造でつくられいるのでしょうか?記事によるとERC1178というERC-20を同時に複数扱えるようにした規格をERC-721に当てはめた拡張をしています。
参照: ERC721x A Smarter Token for the Future of Crypto Collectibles
ERC-1178の機能の外側にERC721の機能を実装しマーケットプレースなどではいままでどおりのERC-721と同様に扱えるようにしているという表記になっています。
この実装方法を採用することによりERC-721xは下記の開発側を含めたメリットがあるとLoomは主張しています。
- ERC20との類似性のため、読んで理解するのは非常に簡単です。ユーザーがスマートコントラクトを監査し、開発者が何をしているのかを確認することが簡単にできます
- 必要な機能を実装するための最小限の拡張しかしていません。 追加されるものが少なければ少ないほど、テスト済みのコードからの逸脱が少ないため、安全である可能性が高くなります。
- これは、ゲーム以外のもの、例えば、会社の優先株式、株式トークンを作成する場合に便利です。
これはいい一手ですね。ぶっちゃけた話 ERC-1155と戦えます。これからが楽しみです。
詳細情報
ERC721x.org
サイトが立ち上がっています。なかなか素敵ですね。
ERC-1178 MCFT: Multi-Class Fungible Token
Stanford のAlbert Chon 先生が提唱をしました。
下記論文が参考になります。
http://web.stanford.edu/~achon/MCFT.pdf
ERC-721x GitHub
コードの参照ができます
https://github.com/loomnetwork/erc721x
まとめ
ERC-1155はゲームメーカーのENJINからの提唱で初夏にERC-721キラー的位置づけで登場しました。ただし、ERC-721との互換がなくこれから普及に向けた活動がどんどん進むところでした。
ここでLoom側が手を打ったという感じでしょう。Loomを採用したdAppsメーカーも仮想通貨系では多くあり強いサポートが得られそうです。
すでにマーケットプレースでの取引が可能。ERC-721を採用したゲームが多いところからみて優勢と考えていいと思います。