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はじめに
2020年の中盤以降で突如、NFTを絡めたクリプトアート分野が急上昇した。すでに確立しているリアルアートの世界とはまだまだ桁違いに小さい市場ではあるがポテンシャルもまだまだ感じる。アートを生業としている人、アート鑑賞が好きな人な一度ふれてみてはいかがだろうか。
出品はRaribleで試してみて、SuperRareでいくつか作品に購入検討する人として訪れるのが最初の一歩としてはおすすめ
クリプトアートとは
ERC721もしくは ERC1155規格のNFTに権利を乗せた形で絵/動画/音声のアート。購入者は各種プラットフォームならびにOpenSeaなどのNFT販売所で売買を行うことができる。
作品に関しては多くは動きのあるものデジタル的なものが主であるが、伝統的なタッチの作品も散見され、顧客の嗜好に対応できる幅広さがでてきているようだ。
クリプトアートのプラットフォーム
クリプトアート専用のプラットフォームは、静止画並びに動画をNFTに変換する機能を有する。また、アートに適した販売プラットフォームとしての機能を持つ。
プラットフォームは売り上げに応じておよそ10%程度からの手数料を徴収することによって運営をされている。平行してOpenSeaなどの大規模NFT販売所にからも購入できる協業をしているケースが多い。
再販売によっても作者に報酬が還元される。NFTといえばゲームのアイテムが主流であったが、多くの場合は、ビジネスサイドが用意するNFTであった。クリプトアートはほぼ個人のアーティストが作成を行う。その構造からすでにクリプトアートの分野では、再販売されたものでも、作者にその一部が還流する仕組みを最初から整えている。
たとえば下記のように再販時には数パーセントが作者にバックされることがスマートコントラクトで保証される。この再販時のバックの割合は生成時・初期販売時に決めることになります。
初期販売: 90% 作者 10% プラットフォーム
再販: 87.5% 所有者 10% 作者 2.5% プラットフォーム
クリプトアートプラットフォームの数値的な比較
今回は主なプラットフォームとして Rarible, SuperRare, NiftyGateway, AsyncArtを紹介する。この4つをまずは押さえてくのが良いと思う。本日は紹介しないが、KnownOrigin, Zora なども個性ある有力プラットフォームである。
SNS的な統計をまずはみてみよう。およそ影響力を把握するのには良い
Platform | Twitter followers | Instagram followers |
Super Rare | 26,000 | 26,000 |
Rarible | 30,000 | 8,000 |
Nifty Gateway | 17,000 | 14,000 |
KnownOrigin | 11,000 | – |
Async Art | 6,500 | – |
集計日 2020/1/20
SuperRareとRarible Nifty Gatewayが圧倒的な数値を誇っていて商業的なリーチとしては強さを感じさせる。RaribleがInstagramでは弱いけれどTwitterでは強いというのはコミュニティーの形成の方向性の違いなのかなと思い興味深い。
作品のリリース量はSuperRaraが一番ではなく、Raribleからの出品が多い。これはRarible以外は出品を行う前にアーティスト登録のステップがあり誰でも出品できるわけではないからだろう。
各プラットフォームの特徴
Rarible
- 誰でもすぐにアーティストになれる
- DAO的仕組みを備えている
- 圧倒的な作品数、単価は低い
一番多く作品とアーティストに支えられているが、Raribleが急速に力をつけたのはおもに2020年。(https://note.com/rarible/n/ne427b2df17e7)上記の記事によると2020年当初のユーザーは100人だったのがいまや3万人である。
サイトにいくと、OpenSeaなどの伝統的なNFT販売所に酷似した形のUIを備えている。後述するが、アートの販売所としてポップな作り側と言えるだろう。比較的低価格からの購入も可能であるし、サイトに登録して即アートをNFTにして販売も行える。
また他のプラットフォームにはない、独自トークンとDAO的な仕組みも備えている。販売者、所有者はRARIというトークンを定期的に得ることが可能な点は他にはないユニークな点である。
SuperRare
- SNSでの存在感の高さ
- アーティストには審査がある
- アーティストからも人気がる
Raribleよりもよりプロフェッショナルアーティストに寄っている。アーティストとして作品を掲載するには、まずSuperRareの審査をクリアする必要がある。
トップページは販売所ではなく、ギャラリーは一歩進めたところに置かれている。その販売も厳正を行った形がみられ、クオリティーの高さがうかがえる。サイトもゆったりとした作りで、一つ一つの作品をゆっくり鑑賞できるようになっている。また作品に関する説明もしっかり行われている
https://editorial.superrare.co/2021/01/20/weekly-top-10-picks-by-an-16/
Nifty Gateway
- Winklevoss兄弟の強いバックアップ
- 超高額ディールを2020年末に成功させた
- クレジットカードが使える
ここ最近、高額の売り上げを果たし、トップに肉薄しているのが NiftyGateway(https://niftygateway.com/)。このフラットフォームは 、取引所のGEMINIがオペレーティングを行っており、つまりWinklevossのバックアップがある。こちらは、他のクリプトプラットフォームよりも、一般の方を引き入れようとしているのか、ドルでの価格表示であるし、支払いはクレジットカードでも行える。さすがに、イーサリアム払いもできるのは多少安心する。
一番左のアートはNifty Gatewayで取引されたものです
AsyncArt
NFTを使って面白い事をしようとしているプラットフォームです。プログラマブルアートと命名した仕組みを備えています。
作品はマスターとレイヤーに分解され、マスターを購入したのちに、作者がレイヤーを追加し、作品を進化させることができるそうです。またレイヤーは複数の作者での共作されているケースがみられます。ただし、専用のプラットフォームで見る必要があるようです。
ダイナミックなアートの世界を今後開いていくのだろうと期待しています。例を出すとビットコインの価格変動に応じて色が変化するアートとなっており高額で取引されたアートとなっています。アーティストは元大リーガーという異色の経歴をもちます。
参照: https://mattkane.com/projects/volatility-art/
3500万円くらいで売れたようですね。
最後に
クリプトアートは始まったばかりです。今後はどうなっていくのかわかりませんが、NFTで作成されたアート作品はプラットフォームが消えても残ります。この点が、デジタルアートを、永続させるブロックチェーンならではのポイントだろうと思います。
評価基準も少なくアートというユーティリティー的価値の測定ができないエリアの目利きはとても難しい。また、物理的に占有所有をしていない点も特異です。
リアルアートと同様に投機も、アートコレクションとしての所有も人間が行う限り似たような人間行動が見えるもんだと思っています。
そんななかでは、必ず自分の行うことが、投機なのか、コレクション保有なのか理解し、少なくとも自分自身は納得した上での売買をしていただくことを心掛けていただくのが良いかと思います。
ではでは。